2010年10月9日土曜日

投資信託の信託報酬率

先日(といっても7月末ですからもう2か月以上前ですが)、STAMインデックスシリーズの信託報酬率が引き下げられました。このこと自体は非常に画期的なことで、素晴らしいことだと思いますし、自分自身も恩恵を受けられるので嬉しい変更です。

そもそも、信託報酬率はそのファンドの純資産総額に対する割合ですから、ファンドに人気が集まり、純資産総額が増えれば増えるだけ、運用会社等の取り分(金額)も増えていくことになります。日本には純資産総額が1兆円を超えているファンドもいくつかありますが、仮に信託報酬率が1%だとすると、その場合、年間100億円が会社の売り上げになることになります。一方で、運用にかかるコストはそれほどファンドの規模にはよらないと想像されますので、良心的な会社であれば、ファンドの規模が大きくなれば、信託報酬率を引き下げる(値下げする)ことは十分可能なはずです。

ただ、STAMに関しても、信託報酬率が引き下げられたとはいえ、米国等のインデックスファンドや、日本でもDC専用ファンドにくらべたら、 まだまだ高い水準です。

ところで、日本のほとんどのファンド(ETFは除く)では、信託報酬が運用会社、販売会社、受託者(信託銀行等)の3者で配分されることになっています。STAM グローバル株式インデックス・オープンの場合だと、
  • 委託者(運用会社): 0.2415%
  • 指定販売会社: 0.3255%
  • 受託者: 0.063%
となっています。すなわち信託報酬の約半分は、なぜか販売会社(証券会社や銀行など)の取り分となっているということです。これは大変奇妙に思われます。

それは、投資信託と同様の証券である株式の売買を考えてみれば分かります。例えば証券会社で株式を購入し、それを保有したままの場合、そのうちの何%かを証券会社に支払ったりはしません。株の売買をする際には、証券会社に、注文を証券取引所に取り次ぐという業務が発生するので、証券会社に手数料を支払うというのは理にかなっていますが、売買をせず保有している間には、たいした作業(コスト)が発生しないと思われるので、普通の証券会社はその保有額に応じた保管料などは徴収していません。

それがなぜか投資信託になると、購入時の手数料(無料の場合もありますが)とは別に、保有しているだけで継続的に、その総額に応じた手数料が、たいした業務もしていない証券会社や銀行などに支払われているのです。

おそらくは、もともと投資信託というものが、消費者(投資家)のために作られたのではなく、業界がいかにして消費者から手数料をとるか、という視点で作られた商品だからだろうと思います。そのため、運用会社だけでなく、それを販売する会社にも分け前をまわす仕組みになっていると考えられます。

このような業界の慣行をやめれば、信託報酬は簡単に半分にできます。それでいて実際にコストのかかる運用会社などの取り分は変わらないのですから、実行可能なはずです。実際、同じ投資信託の一種であるETFでは、当然ながら信託報酬の販売会社取り分はありません。いかに投資信託において、販売サイド(証券会社や銀行など)の力が強いかが分かります。

最近は上場インデックスファンド海外先進国株式 (1680)など幅広い資産に投資できるETFが国内市場に上場されるようになってきました。消費者としては、比較的良心的と思われる商品を選んで、ボッタクリから身をまもるしかないですね。