2010年12月26日日曜日

上場インデックスファンド海外先進国株式 (MSCI-KOKUSAI; 1680) の投資先

先日 ETF 情報を検索していて、たまたまこのページに行き当たりました。「外株インデックスのETF〜KOKUSAIに潜む国債のリスク!」というタイトルの記事ですが、最初は単なるダジャレかと思いました。

しかしながら、記事にある通り、日興アセットマネジメントが運用する ETF「上場インデックスファンド海外先進国株式」 (1680) の有価証券報告書等をEDINETで見てみたら、驚いたことに、保有資産の約50%は国債証券となっていて、そのうちの約半分の25%は日本の国債となっています (平成22年8月31日現在)。

このETFは、主として株式指数先物に投資することで、実質的に MSCI-KOKUSAI に連動する投資成果を目指すといわれています (例えばこちらの記事)。先物であれば、レバレッジをかけることができるので、例えば先物のレバレッジを2倍とすると、純資産額の半分は別のものに投資できます。もしかしたらそのような仕組みで、約半分をいくつかの国債に投資しているのかもしれません。確かに資産の有効活用という意味では、資産を遊ばせておいても仕方がないのかもしれません。(レバレッジをかけたら本来の株価指数に連動させるのが難しくなりそうですから、こんなに単純ではないでしょうが...)

しかしながら、冒頭のリンク先記事にあるように、MSCI-KOKUSAI に含まれる海外先進国の企業の株式に投資しようと思ってこのETFに投資した人が、思いもよらず日本、米国、ドイツ等の国債のリスクまでとることになる (と思われる) のは解せませんし、私なら投資したくないと思ってしまいます。

せっかく最近、このETFの市場価格のNAVからの乖離率が落ち着いてきたように見え、そろそろ資金を投入しても良いかな、と思いはじめたところだったので、残念です。

いずれにせよ、自分の投資するものの中身はきちんと調べて、納得した上で投資すべきという、いたって基本的なことを再確認した次第です。

P.S.
それにしても、このETFの公式ページに、実際の組み入れ資産に関する情報が見当たらないのはイマイチですね。私の探し方が悪いだけかもしれませんが。まだ第1回の決算日を迎えていないので、運用報告書がまだ出ていないせいかもしれません。

2010年11月20日土曜日

MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信 (1550)

日本の証券取引所に上場するETFで、MSCIコクサイ指数に連動する2番目のETFが、11月25日に上場します。これまでは日興AMが運用する上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI KOKUSAI) (1680) だけだったわけですが、これで選択肢が増えることになります。

どちらも信託報酬が0.2625%程度ということで、一見すると、どちらでも変わらないように思えます。しかし、いくつかの点で異なるところもあるようです。

1680は海外の証券課税の問題をクリアするために、主として株価指数先物で運用しているということです(例えばこちらの記事)。一方で、1550はまだはっきりとは分かりませんが、投資先のマザーファンドを通して主として現物株に投資するようです(こちら参照)。

また、もしかしたら結構大きな違いと思えるのが、それぞれの指定参加者です。ETFの指定参加者は、一般の投資家とは違い、自身の持っている現物株バスケットと、ETFを交換することができる大口の参加者です。これにより、ETFの資産基準価格NAVと市場価格との乖離が抑えられるなどの効果があるようです。

この指定参加者は、
  • 1680
  • シティグループ証券(株)、日興コーディアル証券(株)
  • 1550
  • クレディ・スイス証券(株)、野村證券(株)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株)、モルガン・スタンレーMUFG証券(株)
となっています(東証の新規上場銘柄概要による; 1680, 1550)。1550のほうが参加者の顔ぶれが多様な気がしますので、もしかしたら乖離率がより小さく抑えられるかもしれません。

上場されたら、このあたりに注目していきたいと思います。

(追加: 2010-12-05)
いつも参考にさせていただいているホンネの資産運用セミナー経由でこのような記事を見ました。確かに指定参加者が多ければよいと言うものではなく、彼らの思惑しだいでは、むしろ高いスプレッドを押し付けられてしまうかもしれません。

(追加: 2010-12-26)
MSCIコクサイ連動型のETFについて検索していたら、こちらの記事を見ました。やはり投資信託の一種ですから中身をきちんと確認しないといけませんね。

2010年10月9日土曜日

投資信託の信託報酬率

先日(といっても7月末ですからもう2か月以上前ですが)、STAMインデックスシリーズの信託報酬率が引き下げられました。このこと自体は非常に画期的なことで、素晴らしいことだと思いますし、自分自身も恩恵を受けられるので嬉しい変更です。

そもそも、信託報酬率はそのファンドの純資産総額に対する割合ですから、ファンドに人気が集まり、純資産総額が増えれば増えるだけ、運用会社等の取り分(金額)も増えていくことになります。日本には純資産総額が1兆円を超えているファンドもいくつかありますが、仮に信託報酬率が1%だとすると、その場合、年間100億円が会社の売り上げになることになります。一方で、運用にかかるコストはそれほどファンドの規模にはよらないと想像されますので、良心的な会社であれば、ファンドの規模が大きくなれば、信託報酬率を引き下げる(値下げする)ことは十分可能なはずです。

ただ、STAMに関しても、信託報酬率が引き下げられたとはいえ、米国等のインデックスファンドや、日本でもDC専用ファンドにくらべたら、 まだまだ高い水準です。

ところで、日本のほとんどのファンド(ETFは除く)では、信託報酬が運用会社、販売会社、受託者(信託銀行等)の3者で配分されることになっています。STAM グローバル株式インデックス・オープンの場合だと、
  • 委託者(運用会社): 0.2415%
  • 指定販売会社: 0.3255%
  • 受託者: 0.063%
となっています。すなわち信託報酬の約半分は、なぜか販売会社(証券会社や銀行など)の取り分となっているということです。これは大変奇妙に思われます。

それは、投資信託と同様の証券である株式の売買を考えてみれば分かります。例えば証券会社で株式を購入し、それを保有したままの場合、そのうちの何%かを証券会社に支払ったりはしません。株の売買をする際には、証券会社に、注文を証券取引所に取り次ぐという業務が発生するので、証券会社に手数料を支払うというのは理にかなっていますが、売買をせず保有している間には、たいした作業(コスト)が発生しないと思われるので、普通の証券会社はその保有額に応じた保管料などは徴収していません。

それがなぜか投資信託になると、購入時の手数料(無料の場合もありますが)とは別に、保有しているだけで継続的に、その総額に応じた手数料が、たいした業務もしていない証券会社や銀行などに支払われているのです。

おそらくは、もともと投資信託というものが、消費者(投資家)のために作られたのではなく、業界がいかにして消費者から手数料をとるか、という視点で作られた商品だからだろうと思います。そのため、運用会社だけでなく、それを販売する会社にも分け前をまわす仕組みになっていると考えられます。

このような業界の慣行をやめれば、信託報酬は簡単に半分にできます。それでいて実際にコストのかかる運用会社などの取り分は変わらないのですから、実行可能なはずです。実際、同じ投資信託の一種であるETFでは、当然ながら信託報酬の販売会社取り分はありません。いかに投資信託において、販売サイド(証券会社や銀行など)の力が強いかが分かります。

最近は上場インデックスファンド海外先進国株式 (1680)など幅広い資産に投資できるETFが国内市場に上場されるようになってきました。消費者としては、比較的良心的と思われる商品を選んで、ボッタクリから身をまもるしかないですね。

2010年6月5日土曜日

個人向け国債のキャンペーン

夏の個人向け国債の利率などが発表になりました。最近の株安傾向を反映した債券への資金流入のためか、利率はまたまた下がっています(変動10年で0.48%)。

ところで、この個人向け国債の募集時には、いくつかの金融機関でキャンペーンを打つことが恒例となっています。これはおそらく、財務省が、国債を扱ってくれる金融機関に、委託料的なものを支払っており、それを原資にしているのではないかと思われます。それはともかくとして、私はSBI証券をよく利用していますが、それは、100万円分の国債を購入すると3000円のキャッシュバックがあったからです。

ところが今回のキャンペーンでは、キャッシュバック額が2000円に減っていました。これをみて、さては国も財政難の折、委託料を引き下げたか、と思いました。しかしながら、例えば日興コーディアル証券では、100万円につき3000円分のギフトカードが貰えるようですので、対応を変えた金融機関ばかりではないようです。

真相はわかりませんが、こんなところからも、国、および金融機関の思惑・体力を伺い知ることができるかもしれません。

2010年1月23日土曜日

外国債券に対する考え

私の外国債券投資に対する考え方は、山崎元氏と同じで、期待リターンは国内債券と同じであると考えています。なので、債券に投資したければ、国内債券(商品としては個人向け国債)で十分と思っています。

もちろん氏の考え方に影響を受けている部分もありますが、それ以上に、2007-2009(?)の financial crisis で身をもって為替変動の恐ろしさを経験した(未だに経験中...)ためもあります。

実は、件の金融危機までは、私もご多分にもれず、分散投資と思って外国債券に投資するインデックスファンドを買っていました。私は2007年の始め頃から投資を始めたのですが、その時に外債ファンド(為替ヘッジなし)の過去の値動きを見ると、2001年くらいから年5%以上のレートできれいに上昇していました。今から思うと、特にその期間の後半は円安の影響が大きく出ていただけなのですが、その時の私は、浅はかにも、外債でも儲かりそうだ、と思っていました。FXで外貨ロングポジションをとるだけでスワップで稼げる良い時代でした(私自身はFXはやっていませんが)。

しかし、米ドルが120円→90円、ユーロは160円→130円など、瞬く間に20-30%も外貨の価値が下がり、それに伴って私の買っていた外債ファンドも同じように価値が下がってしまいました。このファンドは未だに塩漬け状態です(塩漬けなのは外債に限りませんが...)。

為替はゼロサムと言われますが、これはスワップも含めてのことです。高い授業料を払ってそのことに気づいてからは、外債への追加投資はやめました。ただ、やはり損失を確定させる勇気がなく、将来の値上がりを期待してまだ持ち続けています。さて原点に復帰する日はやってくるでしょうか...

バランスファンドについて思うこと

よくバランスファンドの利点として、自動的にリバランスしてくれる点が挙げられています。

確かに、内外株、内外債券等、異なる「アセットクラス」への配分率をある割合に自動的に調整してくれるのは、そのようにいろんなものに投資している人にとっては便利に感じられるかもしれません。

しかし、普通のファンド、例えば株式に投資するファンドであれば、ファンドマネジャーの決めた割合の、複数の株式に自動的に投資してくれているわけです。また例えばTOPIXに連動するインデックスファンドであれば、TOPIXに連動するように、自動的にそのファンドに含まれる株式の割合を調整してくれています。

なので、とりわけ「自動的に配分を調整してくれる」ということをもって、通常よりも高い信託報酬を取ることの理由にはならないと思います。(通常のファンドもバランスファンドも、同じ「配分調整」の仕事をしているわけですし)

そう考えると、例えば、債券と株に50%ずつ投資するバランスファンドは、その信託報酬が、バラで買ったときの信託報酬の平均程度でないと、ぼったくりと言っていいのではないでしょうか。

山崎元氏のやや過激に見える主張も、根本は同様な考え方があると思います。